ワンちゃんについて

2024.3.31

霊犬・早太郎の話 愛心訪問ペット葬祭

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長野県の駒ケ根市に光善寺というお寺があります。毎年年始に多くの参拝客が訪れます。このお寺は積岩の間で薄っすらと光るヒカリゴケが有名ですが、霊犬・早太郎が祀られています。

なぜ早太郎が霊犬と言われているのか?それは今から700年前まで遡ります。

当時、遠州府中(今の静岡県磐田市周辺)のある神社では、悲しい風習がありました。毎年化け物が田畑を荒らして地元民が悩まされていたのです。

 

そのため毎年祭りの日に地元の娘を生け贄として、その化け物に捧げるという風習がありました。ある年、この村を通りかかったお坊さまがこの話を聞きます。そして、民を苦しめている化け物の正体を確認するために、その村に留まることに。

 

陽が沈み、生贄となった娘に近寄る化け物。それは巨大な老齢のヒヒだったのです。ただこの化け物が気になる言葉を吐きます。

 

「今、ここに早太郎は居ないな。信州の早太郎に知られてはならない」

 

悲しいことにこの時、娘は尊い命を捧げて村は救われましたが、毎年このようなことがあってはならないため、お坊さんは信州に向かい、光善寺に早太郎がいることを突き止めたのです。

 

そして、お寺の住職に早太郎を借り受け、翌年のお祭りの時、早太郎が娘の代わりに生贄となったのです。祭りの夜、いつものようにやってくる化け物。そして、早太郎はこの化け物と戦い勝利します。

 

しかし、彼は痛手を負いながらも何とか光善寺まで帰り、たどり着いたのでした。しかし、早太郎は深い傷のため、ここで命を落としてしまったのです。その後、光善寺の住職は彼のお墓を立てて供養しました。

 

さらに彼を借り受けたお坊さんも、供養のために大般若経を写経し光前寺に奉納。今でも俺寺の大切な宝として残されているのです。

 

光善寺に行くと、本堂の隣に早太郎の像を見ることができます。彼は参拝する人を優しく見守るように迎えてくれていますね。日本全国の神社仏閣には、まだまだ私たちの知らない伝説があります。

そんな歴史を紐解くと、その土地のことや生命に感謝の思いが芽生えてくるかもしれません。ヒカリゴケは毎年春から秋にかけて見ることができますが、もし光善寺に立ち寄る機会があるなら、霊犬・早太郎に思いを寄せてみてください。